3月29日

直ちゃん、今日はどんな辛いことがありましたか?どんな痛いことがありましたか?ほんの少しでもほっとするひとときがあるといいね。私はカートを押して西友に行ってきたよ。いろいろ買い物をしてお金をいっぱい使ってしまった。まあね、ない時はない時で辛抱すればいいもんね。

沖縄のコロナ感染者がとても多くなってきた。島の人たちかな。それとも観光客のせいかな。そうだとしたら、本当に申し訳なく思う。沖縄の人たちは分け隔てなく、自分以外のものを受け入れてくれる。その包容力は想像外だと思う。琉球時代から先の戦争の時も、沖縄は最前線で犠牲になってきた。古い話しは分からないけど、あの戦争の時のことは島の資料館でもオジイやオバアたちから、直接聞くことが出来る。

沖縄にはガマと呼ばれる自然豪がたくさんある。観光になっているところもあるけれど、ひっそりとそこにある。私がしばらく住んだ北の方の離島にも、そんなガマがあった。時々その中に入っていると、太陽の光が届かない奥の暗闇に、そのガマの中で、火炎放射器によって焼き殺されたたくさんの呻きが押し寄せてくるようで怖かった。

今でも壁の土を掻き進むと人の骨が出てくると聞かされた。上陸した米軍に追い詰められて逃げ込んだその豪に火を放ったのは日本兵だったと聞く。赤ん坊の泣き声で見つかるから、首を絞めろと母親を脅したのも日本兵だと聞くと、鳥肌が立つ思いだった。そんなことは作り話だと言えない自分がいる。人間、自分の命を守るためにはどんな残忍なこともする。アウシュビッツの収容所を見た時も私は震えながらそう思った。私も、同じ条件で同じ環境に置かれたら、間違いなく同じことをしただろうと思う。そう思う自分が怖い。

今は平和か?戦争をしていないから?そこに毅然と返事ができないから。私だって平気で人を殺してきた。がむしゃらに自我を押し通し通す時、人はそれを正義と勘違いして他人の心を殺す。愛だと言い張って人の心を殺す。

身長よりも高く積もった雪がすっかり消えた。いったいどこに消えたのだろう。どうして大洪水にならないで、すっかり消えてしまうのだろう。雪国に住んで50年、毎年同じことを考える。日本の下水道が優秀なのかな。それとも地球の包容力が途方もなく大きいのかな。直ちゃんならちゃんと教えてくれただろうに。直ちゃん、どこにいるの?