3月20日㊗️

明日が日曜日なので二日の連休。この緊急態勢下でみんなは連休を楽しんでいるのだろうか。あずましくない休日だろうに。春のお彼岸なのでお墓参りをする家族も多いかもしれないが、北海道の墓地はまだ深い雪に埋もれている。スコップを担いで墓地に行き、まず雪の中からお墓を掘り出すことから墓参りは始まる。これも雪国の風物詩かもしれない。

少しずつ整理を始める。夕方になるとほんのちょっと体力を感じるので、まずはテーブルの上を片付けよう。食事をするのも手紙を書くのも、空き地を作ってからでなくては出来ない。整理を始めると、一通ずつ直ちゃんの手紙が出てくる。その度に作業は中断されて手紙を読み始める。直ちゃんは視力の落ちた私のために、大きな字で書いてくれた。繰り返し繰り返し、焦らないでゆっくりゆっくりだよと書いてくれている。直ちゃん、この手紙を書いている直ちゃんは、杖をつきながらも近所を歩きバスに乗って駅前の商店街に行き、便箋と封筒を買って、私への心遣いを綴ってくれている。どこで書いたのかなあ。キッチンのテーブルかな。何度か訪ねて泊めてもらったあの家の中に、なおちゃんを置いてみる。

直ちゃんの家は建築雑誌に載りそうな、おしゃれで素敵な家だった。ただその分吹き抜けの部屋はとても寒かった。北海道の家は、食事を減らしても暖房と言われるくらいに、真冬でも暖かい。私はずっとアパート暮らしだけれど、暖かい。だから余計に部屋の寒さが堪えたのを思い出す。直ちゃんのところはご主人とのtwin comeだから倹約してのことではない。ただ、人が生きる環境の違いは面白いと感じていた。

私は沖縄で働いたこともある。沖縄は冬がないと思っていたが、冬の季節になると、なんと雪国と同じようにダウンコートを着るのを見てびっくりした。それも環境の違いが勝手な思い込みを持たせるのだと気づいた。オーストラリアでも働いた。外国に行くと感じることは、季節にも環境にも彼らは縛られないようだということ。片方はコートを着てて片方は半袖のシャツという姿をたくさん見た。暑がりの人もいれば寒がりの人もいる。だから周りと同じにする方がおかしい。日本人はなかなかそのように生きるのは難しい。どうしても周囲と同じにしなくては恥ずかしい。その顕著な姿が制服らしい。私たちは子どもの時から、いつも友だちと一緒にして育てられたから、一人浮くのが恥ずかしい。それでも最近若いお母さんが、真冬でも素足の赤ちゃんを抱いていたりする。それはそれで、ちょっとびっくりする。きっとその子どもたちが大人になる頃には、今よりは個性を尊重する世界になるのだね?

私は多分そういう自由な社会を見ることはないだろう。きっと素晴らしい未来がくる。他人の目を気にしないで、自分の個性を生々と表現した社会が!