6月12日

なおちゃん随分お休みしてしまったね。ごめんね。もう二ヶ月くらいかな。一日だってなおちゃんのことを忘れたことはなかった。朝起きるとなおちゃんにおはようと言い、買い物に行くときは、なおちゃん一緒に行って私を守ってねと言い、思うように動かない身体を持て余して、半分死んだような時は、なおちゃん助けてと頼み、一日が終わるときは、なおちゃん休もうねと語りかけながら過ごした。

もう夏です。暑いのが大嫌いななおちゃんには、酷な季節だね。どんな生活をしているのだろう。不自由なところはどこだろう。最近脳外科の世界は驚くほど進歩しているから、脳梗塞で倒れたなおちゃんもきっと想像以上の回復をしていると思っています。それは同時に不自由に直面して工夫して生きることでもあるだろうから、苦しい現実だなと思う。なんでもできる人だったから、勇敢に挑戦する人だったからとても辛いだろうなと思う。

なおちゃんとは比べようもないかもしれないけど、私も「老い」という障害の前で立ち竦んでいます。努力で克服できない、思いもよらない不安と絶望。みんなが通る道だと思うけど、その速度の速さに怯えています。こういうこと、一緒にぼやきあいたかった。励まし合いたかった。70年の長い時間の中で、きっと今こそお互いに支えあいたい時代に入っているように思うのに、なおちゃんは今どこにいますか。あなたの心は今どこにいますか。