3月19日

この世に天国はないんだと、今日もまた思い知らされた。80年以上も生きてきて、それは心の底から肝に刻んだことなのに。甘いな。また、天国を見つけたことにぞっこん酔っていた。天国の裏には心傷つき疲れ果てている存在がある。そのことに気付かされた今日は、めっちゃ疲れた。身体が疲れることは日常だけど、心が疲れる感覚を久しぶりに感じた。

罪に染まった人間の住む世界に、天国などあるわけがない。だから殊更、驚くほど無垢ではない。何故こんなに疲れたんだろう。最後の住処にきっと夢を見たかったのだろう。懲りないね。

直ちゃんどのくらい回復したのだろう。あなたは諦めない人だから、きっと厳しいリハビリに立ち向かっているのだね。直ちゃん、オリンピックするみたいだよ。不思議に思うけどね。来週には聖火が走り始める。ボランティアで通訳をしようと思うって言ったよね。すごく嬉しかった。都のボランティアに登録したけど、80のおばあさんが出る幕じゃないかなって言う手紙が届いたのは去年だった。私はその手紙にちょっと違和感を感じた。う〜ん、直ちゃんらしくないなって。オリンピックは始まるから、ちょっと間に合わないかもだね。

それから、こんなことも話してくれた。これは冬の競技だけど、カーリングをしてみたいって。カーリングなんてよく思いつくなと私は不思議だったよ。私はその時すでに、身体がすっかり衰えていたから、本当にびっくりした。カーリング体幹がしっかりしていないとね。直ちゃんはそんなふうに、チャレンジ精神が旺盛な人だから、リハビリもきっと積極的にしているだろうと思う。

春まだ浅い一日。久しぶりに生きることの闇を垣間見た一日だった。