3月27日

NHKの教育番組に「百分で読める名著」というのがあって、とても面白い。「心の時代」という宗教的な番組もとても面白い。今日の名著は「14歳からの哲学」という本だった。早世した女性哲学者のものらしい。こんな本に若い頃に出会いたかった。そうしたら私はもっと生きやすかっただろう。

私の記憶にある最初の本は、疎開をした母の実家、その家の書斎の本棚だ。母の父親つまり私のおじいちゃんは学問のある人だったらしい。昔は応接間というのがあった。応接セットというのがあった。おじいちゃんは怖かったから応接間になど入れなかったし、本はほとんど漢文だった。その本棚にあった黒い革表紙の小さな本が、なぜかずっと気になっていた。それが聖書だったことを何かの拍子で知った時、嬉しかった。あの本を大事に持っていればよかった。きっと昔の文語で書かれたものだったに違いない。

母に教会に行ったことがあるの?と聞いた時、母はあるよと答えた。それは興味深いことだけど、クリスマスに近所の子供たちがたくさん教会に行ったと言う。お菓子とお人形を貰えたんだよと母は言った。教会はいつの時代にも、そうやって伝道の種まきをしていたのだろう。何十年もの時を経て、私たち一家はクリスチャンとなり、私の息子は牧師になった。

母がいうお菓子とお人形の種が、小さな花をつけて実になったと思うべきか?そうなら、私たちももっと種を蒔かなくては・・。何故か素直にそう思う自分に驚く。

直ちゃん今日はどんなリハビリをしたの?辛かった?痛かった?私は今日、何もできないで横になっていた。こんなふうに体力も気力も衰えていって、未知の世界へと旅立つのか。そう言えば、テレビドラマで幼稚園の子どもたちが卒園式で「旅立ちの歌」を歌っていた。ちょっと違和感があった。いや、とても違和感があった。いくらテレビドラマでも、選曲ミスですよ。ね?