3月16日

全国の公立高校で、今日合格発表があった。娘のその日、仲良しグループの中で、一人だけが落ちるという出来事があった。合格したものたちも心から喜べない。落ちたものは身の置き場がないだろう。辛い季節だ。実際にはきっとほんの一点くらいで、合否が決まるのだろう。なんとかならないのだろうか。その試練もまた、子どもたちの心を育てると指導できる先生がいるといいな。

今年はボードでの発表が取りやめとなり、インターネットの発表だけになったらしい。一人の男の子がテレビの取材に答えていた。僕の携帯が具合悪くて、また後でと思っていたら、母親がネットで調べて入っていたよと言った。僕の人生の初めてのことで、自分で最初に見たかった。嗚呼、これはもうなんと言えば良いか。思わず笑ってしまった。おかあさんの気持ちも手にとるように分かるし、少年のいい分もよく分かる。困った!

世の中にはこう言う善意の食い違いって、案外たくさんあるように思う。でも、私も母親サイドだから、おかあさんちょっと落ち着いて考えようよ、と言う。これからですよ。息子は高校から大学へ、大学から社会へ、そしてやってくる「かあさん好きな子ができた」と言う母親にとっては死刑宣告のような出来事が待っている。その時、私はどうするか。あなたは息子の前でどうしますか。

私の失敗談は、あっそうと精一杯虚勢を張ったことだ。息子は言った。かあさんは僕を愛していないんだな、だって友だちのおかあさんは決まって怒ったそうだよ。それは息子を愛している証拠だ。

それを聞いていた長女の娘が怒った。門限もうるさく、何かと手を出し口を出す私が、あっそうとはなんたること。その母の気持ちを読み取れないお前は!と、娘の怒りは弟に向かった。

私の母が生前よく話してくれた小説「賢兄愚弟」のことを思い出して、私は心が晴れた。今でも、ほろ苦くほろ甘い60年以上も前の、活気のあった家族のお話しです。