3月15日

なおちゃんどうしていますか?今、どんな気持ちでいますか?

東京はとても早い桜の開花宣言をしました。暖かいみたいだよ。暖かいを通り越して、なおちゃんが嫌いな夏のような暑さだって。病室にいるあなたは、暑くもなく寒くもなく、ちょうどいい温度の中にいるはず。その中で懸命にリハビリをしているんだね。

札幌も今日はとても暖かくて、今年初めて窓を開けたよ。入ってくる風が気持ちよかった。

コロナはまた伝染力を強くしている。感染者がじわじわと増えてきた。お花見の季節だし、人混みは目に見えて増えている。ほんの少しの気の緩みをウイルスは見逃さずに襲いかかってる。この闘いはいつまで続いて、どれだけの恐怖を与えるんだろう。

3月は本来なら華やかで幸せな時なのに、コロナで閉ざされたこの春は、閉塞感で充ちている。親しい人と出会っても、そそくさと別れる。言葉を交わし合うことも控える。こんな時間が当たり前になったら、この世界はどうなっていくのだろう。

東京に住む友人から桜の写真が送られてきた。桜、もう70年以上も前のことだが、鮮烈な桜の記憶がある。修学旅行で行った京都、ちょうど桜の季節だった。満開の桜の下で、墨染の衣を着た同じ年頃の少年を見た。修学旅行ではしゃいでいる私たちの中に、その少年はいた。

何故か胸を突かれた。頭を剃った少年を、私はかわいそうに思った。そう思うのは、子どもの時から仏門に入った少年が、清らかで透き通って見えたから。今になって考えると何も分からないのに、かわいそうだなどと言うのは、不遜だと思う。ただ、中学生の私がそう思った。あの感情は何だろう。聖なるものへの渇望のようなものか。憧れだったのか。

あの時の少年も、老齢となって桜の花を愛でているだろうか。